

14歳で世界ジュニアに挑戦して以来、世界という大きな舞台で活躍している羽生選手。2014年シーズンはソチオリンピック金メダル、世界選手権優勝、グランプリファイナル優勝の3冠に輝き、文字通り世界のトップに立ちました。 「フィギュアが教えてくれたこと」第3回目の今回は、今や世界中で注目を浴び、目標とされる立場になった羽生選手が、世界という舞台をどう見ているのか語っていただき、そしてこれから世界を舞台にしたいと思っている人に向けてメッセージをいただきました。また、インタビューの中で明かしてくれた意外な一面やとっておきのエピソードをコラムでご紹介します。ぜひ、最後までお見逃しなく、お楽しみください。

世界という舞台
日本の頂点を極め、世界に滑りだした時の感動。そして世界中のライバルを相手に戦うということ。勝つたびに大きくなっていく舞台を、羽生選手はどのように感じているのでしょうか。
夢であり、壁でもある
小さい頃は、地元のリンクが自分の世界そのものでした。ジュニアからシニアへ。そして日本から世界へ。自分の舞台が少しずつ大きくなっていくのを実感します。世界に滑り出したときは本当に夢のようでした。それまで世界はテレビの中にあったものだったから、すべてに驚き、感動し、すごいなと思うことの連続でした。カナダに行ったばかりの頃もすべてが刺激的で、発見の毎日でした。世界に出ると、その大きさを肌で感じると同時に、自分のできないことができる素晴らしい選手がたくさんいるという現実に大きな壁も感じます。

やるべきことは、一つ!
世界の舞台にいざ出てみると、やはりいろいろな面で日本との違いを感じます。世界で勝つには、さらに高度な技を身につけなくてはならないし、精神面でも強さが必要になります。気候も環境も食べ物も違うので体調管理も気が抜けません。でも、日本にいようが世界にいようが、やるべきことは同じだと思っています。世界で活躍している高いレベルの選手に「勝ちたい!」と思ったら、自分を磨くしかないんです。もちろんこれは今だから言えることであって、昔の自分にはそんなことはとても言えなかったと思います。
世界中のファンについて
羽生選手の舞台が広がるにつれて、声援も国を超えて聞こえるようになりました。今や世界中のファンが羽生選手に注目し、熱い声援を送っています。世界のスターとなった羽生選手に、ファンに対する想いを語っていただきました。
どんな応援でも、やっぱり嬉しいです
ファンの応援にはものすごいエネルギーがあって、いつも心に届きます。選手を応援するファンの気持ちはどこの国も同じだと思います。でも応援の仕方には違いを感じます。コスプレして応援を楽しむファンの方がいたり、たくさんの贈り物でリンクがいっぱいになったり…その国の慣習とか、おもてなしの文化みたいなものが表れていて、個性あふれる熱い応援にテンションが上がります。一人の選手を応援するために、みんなが一つになれるというのは素晴らしいことだし、すごく嬉しいことです。

応援を力に変えたい
応援のパワーがあまりに強いから、時にはいい意味でプレッシャーを感じることもあります。でも、そのプレッシャーを自分の力に変えることが、応援に応えることにつながると思っています。演技をするたびに、観客席からいろいろな声が上がって。演技の内容によって期待であったり、安堵だったり、落胆であったりもしますが、滑っていて会場の空気が動くのがわかるんです。そういう会場との一体感や臨場感はとても楽しいです。

世界を目指す人たちへ
世界という舞台に立ち、ますます経験を広げている羽生選手。同じくフィギュアで世界を目指す人たちへ伝えたいことをお伺いしました。フィギュアに限らず、さまざまな分野で活躍したいと考えるすべての人に通ずるメッセージかもしれません。
失敗や遠回りを恐れないで
将来的には、後輩にいいアドバイスができるようになれればいいなと思っていますが、今はまだその立場にはない気がします。ただ、「無駄ことは何もない」というのが僕の持論です。それが遠回りであったとしても失敗だったとしても、反省したり考えるきっかけには100パーセントなるので、その時無駄のように思えることが、いつか絶対に糧になって、次は失敗しないようにと考えることができる。また遠回りの方が結果として早道になることもある。だから自分がしたいと思っていることに恐れず挑戦し、その体験を大切にしてほしいなと、僕は思っています。
\ここだけの、インタビューこ/
ぼれ話

現在、早稲田大学人間科学部に在籍している羽生選手。大学ではどんなことを学んでいるのかを伺ってみました。
大学生・羽生結弦
僕は「人間科学部」という学部で、今は「人間情報科学科」を専攻しています。どういう学問かというと、世の中にあふれているたくさんの情報の中から、人がどういう仕組みで必要な情報と出会い、受け取り、正しいと判断し、行動につなげていくのか…どういう根拠でそうなるのかということをデータで解析して、いろいろなことに活かそうという内容です。人間の情報処理力だとか、情報との付き合い方は、もちろんスポーツにも通ずるところはありますが、スポーツと関係なく、オフィスのデスクの配置によってどう効率が変わるのかなど、実際の企業を例に研究する環境デザインについても学んでいます。週一回のレポートが大変ですが、頑張って提出しています。

特別企画「YUZUへリクエスト!」へ、たくさんの投稿をいただきありがとうございました。今回は寄せられたリクエストや質問に羽生選手が答えるシリーズ「前編」をお届けします。カナダでの練習や日々の様子が伝わる貴重な写真と共に、ぜひお楽しみください。
日々練習に打ち込んでいる羽生選手の、最近オススメの気分転換法があれば教えてください!
割とオンとオフの切り替えはきちんとできるほうだと思います。練習していない時は常にリラックスできています!その時々にしたいことを大切にしています。

トロントでの練習拠点となっているクリケットクラブ。
世界中を遠征する羽生選手ですが、個人的に行ってみたい国があれば理由と一緒に教えてください!
こういう生活をしているからか特に外国でここに行ってみたいというところはありません。どちらかというと日本でゆったりと過ごしたいです!

国外より、やっぱり日本が落ち着くという羽生選手。
トロントでの生活で、ここがやっぱり日本での生活と違うなーって思うことはなんですか?
私の場合は、トロントにスケートのためにいるという意識が強いため、ここトロントはスケートに集中できる環境だと感じています。他には、食材の味が少し日本と違うんです。なので、日本のご飯を食べたいなぁって時々思いますね。



トロントは清潔で治安もよく暮らしやすい街です。

大きい街なのに自然が豊かな点も気に入っています。

特別企画「YUZUへリクエスト!」へ、たくさんの投稿をいただきありがとうございました。今回は寄せられたリクエストや質問に羽生選手が答えるシリーズ「後編」をお届けします。ここだけでしか見れない羽生選手からのお返事をぜひお楽しみください。
私は高校生なのですが、勉強のとき集中力が続きません。羽生選手は試合の時どのようにして集中力を高めていますか?
僕もあまり勉強に集中できるタイプではなかったです。今も、大学のレポートを書く時はやっぱり、やだなあって思います(笑)。集中するまでが大変なんですよね…僕の場合、集中できない時は、とりあえず1分だけやってみるようにしています。1分でも、30秒でも。レポートも、とりあえず一文書いてみる。書いてみて、次が思いつかなかったらちょっと休んで。2分とか、3分とか。それからまた一文書いて、とやっていくと、5分、10分、30分と、いつの間にか集中が続いていることが多いです。 試合の時は、勉強の時と違って、かなり緊張します。フィギュアは一人でやるスポーツだけれど、応援してくれる人や、サポートしてくれる人がたくさんいる。だから集中しやすいんだと思います。



トロントではリラックスできるので練習に集中することができます。
今までのプログラムの中で、羽生選手のお気に入りのプログラムを教えてください。(もちろん、どのプログラムにも思い入れはあるとは思いますが「この振り付けがお気に入り!」などありましたら、ぜひお願い致します!)
気に入っているのは、5歳の時、初めての大会で滑った「ウルトラマンガイヤ」のオープニングテーマ。当時からウルトラマンが好きで、すごく記憶に残っています。「sing sing sing」も、小さい頃からずっと好きですね。練習の時にかかっていて、「そんなに好きならこの曲で滑ってみる?」って先生に言われて。嬉しかったし、今でもお気に入りです。 滑っていて楽しいのが、モンキーマジックさんと吉田兄弟さんのコラボ曲「change」。実は休む場所がないくらい激しいプログラムなんですが、すごく楽しくてお気に入りです。震災があった2011年の「ロミオとジュリエット」にも、とても強い思い入れがあります。あと「オペラ座の怪人」も、ずっとやりたかったプログラムだったので…挙げていくとキリがないですね(笑)



クリケットクラブは多くのチャンピョンを輩出しているクラブです。

昨シーズンでは、NHK杯、グランプリファイナルと連続で300点越えの偉業を成し遂げ、グランプリファイナルの記録はギネスにも登録された羽生選手。今シーズンでもさらなる進化を遂げ、3月に開かれる世界選手権を目前に控えた今、羽生選手が考える「強さ」とは?インタビューでうかがいました。
昨シーズンでは、NHK杯、グランプリファイナルと2戦連続で300点越えの偉業を成し遂げ、グランプリファイナルの記録は「ギネス世界記録」にも登録された羽生選手。今シーズンは、史上初の4回転ループを成功させ、フリープログラムでは4種類の4回転ジャンプに挑むなど、さらなる進化を遂げています。グランプリファイナルでは史上初の4連覇を達成し、3月に開かれる世界選手権を目前に控えた今、進化し続ける羽生選手が考える「強さ」とはどのようなものでしょうか?インタビューでうかがいました。

環境の変化への強さこそが 本当の強さだと思う
僕が考える「強さ」というのは、実力だけではなく、気持ちの強さとも少し違っていて、本番の強さ……環境に対する強さだと思います。人間、誰だって環境が変われば緊張もするし、普段どおりのパフォーマンスができなくなります。どんなスポーツでもそうだと思うのですがフィギュアスケートも練習と同じ環境で試合があるわけではありません。そんな中で思ったような演技をできる人が本当に強い選手だと思います。例えば時差や飛行機の移動による体の感覚の違いだったり、試合のムードやリンクの氷の質感の違いなんかに影響されてしまうこともある。でも、そうした中でいつもの練習どおり、思ったとおりの演技ができる人、力を出し切れる人が本当に強い選手だと思うんです。そういう意味で、僕はまだまだだと思っています。環境の変化に影響されることなく完璧な演技ができる―それこそが、本当の意味での「強さ」なのだと思います。

どんな試合でも自分の力を 出し切れる選手になりたい
試合では一番気持ちを張り詰めて、ピークに合わせて力を出し切れる選手じゃなければならないダメと思うんですよね。それをとにかく目指したいなとは思っています。 僕がプルシェンコ選手に憧れている理由もそこにあります。小さい頃からずっと見ていましたが、彼はジャンプで前かがみになったりすることはあっても、絶対に転倒しないし、本当にミスをしません。試合で失敗したところをほとんど見たことがない。彼こそが絶対王者です。僕もプルシェンコ選手のように、どんな試合でもぶれずに自分の力を出し切れる選手になることを目指したいと思っています。

自分が「信じられるもの」を どれだけ作れるかが今後の課題
様々な環境の中、例えばリンクによって氷の質感は違います。その条件の中でジャンプを跳ぶとき、どういうふうに跳ぶ感覚をつけるかというのは本当に経験になってきます。最終的には自分の感覚なので、誰かに教えてもらえるものでもなく、自分が信じられるかどうかです。自分が「信じられるもの」があればいい。ジャンプを跳ぶ前のその一瞬を注意して「跳べる」と信じていたら絶対に跳べるということが確かにあります。 僕は、いろんな選手やコーチのインタビューを聞くのが好きなんです。みんなその人だけの理論…なにかしらの「信じられるもの」があるんです。自分自身の「信じられるもの」は、精神的な変化や体調の変化によって変わっていくとは思います。でもその変化にいかに柔軟に対応して、これから先どれだけ自分が「信じられるもの」の経験を作っていくか。それが自分の課題だと思います。


オリンピックチャンピオンであり、現世界記録保持者。そして、史上初のグランプリファイナル4連覇を達成しながら、「自分の目指すスケートはまだまだ」と言う羽生選手。現状に甘んじることなく、更なる高みに向かって邁進し続ける羽生選手の進化の秘密に迫ります。

負けず嫌いの究極系。 だからこそ前に進める
自分のことをすごく負けず嫌いだと思っています。僕はすべての試合で絶対に勝ちたいし、悔しい思いなんかしたくない。トレーニングをしている時でも、ジャンプが跳べない日なんかは自分に負けてる感があるので、すごく悔しくてしょうがない。もう負けず嫌いの究極系ですね。(笑) 僕の負けず嫌いって、ただ単純な試合の勝ち負けという訳でなくて、自分がミスをしたら、成長しきれてなかった自分自身に負けたって思います。この演技がしたいって決めたら、その演技じゃなきゃダメだと思ってしまう。それができたとしても、すごく頑固だから満足したことが今までほとんどありません。でも失敗や悔しい思いはある種の経験だと思います。失敗があるから反省ができたり、悔しさがバネになることもある。だから常に前に前にと進めるんだと思います。

フィギュアは多面性のある スポーツ。伸び悩んでも、 他のことで進化できる
フィギュアはジャンプやスピン、ステップなど構成要素が多く、スケーティングの技術だけでなく表現力も求められます。フィギュアってものすごく多面性のあるスポーツなんです。何かひとつうまくいかないことがあったとしても、他を伸ばすことができる。例えば、ジャンプに伸び悩んだとしても、ステップやスピン、表現力を磨けばいいわけで、探そうと思えば成長できるところはいくらだってあります。自分で限界を決めない限り、どこまでも成長できる。この先、年齢を重ねてジャンプが跳べなくなったとしても、表現力はもっと磨かれているはずだから、違う意味でうまくなっているわけです。そう考えると、僕はまだまだ進化できる。だから、フィギュアスケートってすごくおもしろいなって思うんです。

支えてくれる全ての人たちが 一緒に戦ってくれるチームだと思う
フィギュアスケートというスポーツは、氷上でひとりでするものですが、大きな試合になればなるほど、ひとりの選手をサポートするメンバーが大勢います。氷上に辿り着くまでに体を作ってくれる人がいて、教えてくれるコーチがいて、チームの関係者の方たちがいる。そして、生活全般から試合にいたるまでのすべてを支えてくれる母がいて、会場でエールを送ってくれる観客の皆さんがいる。そのすべての人たちが同じ方向に向かって僕と一緒に戦ってくれている。チームで戦っているという感覚があるんです。自分はひとりではない、自分のために皆さんがいてくれると感じられるからこそ、集中できるし、頑張れる。自分を支えてくれる人たちがいることを本当にありがたいと思います。


17歳の春にカナダのトロントに生活の拠点を移して5年。世界のトップレベルで戦う仲間たちから刺激を受け、切磋琢磨しながら練習できる毎日に充実感を感じている羽生選手。プライベートはどのように過ごしているのでしょうか? 毎日の生活やオフの日の過ごし方について、2回にわたってお届けします。YUZURU’s PRIVATE前編では、カナダでの生活、普段の持ち物やファッション、食生活について語っていただきました。

家族と共に暮らした仙台からお母様とふたりでカナダのトロントへ。羽生選手にとって、生活の場としてのトロントの印象を伺いしました。
トロントは自然が とても豊かで美しいです
トロントは自然がすごく豊かできれいなんですね。住宅街とは言っても森のようにたくさんの大きな樹に囲まれていて、「あ~今日もきれいだな~」って思います。仙台も「杜の都」と言われているだけあって自然も多いのですが、仙台ではそこまで自然と関わるということはありませんでした。今は気になる植物があったりすると、母に「この花って、何?」と聞いたりしています。日本では見かけない花もたくさん咲いているし、リスやロビンという小鳥もよく見かけます。自然に囲まれて生活できるって、なんだかすごくリラックスするというか、いいなぁと思いますね。

毎日持ち歩くものや身につけているものには、普段の顔が現れます。羽生選手がいつも持ち歩いているカバンの中身やファッションについて伺いました。
移動はいつも 大きなリュックです
遠征に行く時は大きなリュックにゲームとイヤホン、音楽プレーヤーとポータブルスピーカー、あとはマッサージ用のボールのようなセルフケアグッズを入れています。なかでもイヤホンは何本も詰めて持って行くほどこだわっていて、最初は運動しているときに取れない形状を探してカタチから入ったんです。でも、いろいろ試しているうち、それぞれに音の響きに特長があるのが面白くてはまってしまって、今では50本以上持っています。その中から、忠実に音を聞きたいとき、テンションを上げたいとき、今日は高音がきれいなキラキラしたものがいいとか、低音がドンドン響いてくる感じがいいとか、マイルドな温かい感じの音がいいとか、その時の気分や用途によって使い分けています。

ファッションは 機能性重視です
ファッションの流行にはあまり興味がないんです。どちらかと言うと機能性重視ですね。練習でジャージを着ることが多いので、伸縮性や肌触りのよさにはこだわっています。例えば、普段のトレーニングだと、薄手でしっかり伸びるけど丈夫なもの、飛行機での移動では寒いこともあるので厚手で、なおかつ通気性のよいものを選んでいます。トロントに来てからは買い物に行くこともあまりないので、撮影のときにスタイリストさんに聞いたり、ネットで調べたりして、常に着心地のいいものを探し求めています。
日本とは食事情が異なるトロントで、体力づくりやコンディションを整えるために、羽生選手はどんな食生活を送っているのでしょうか? 羽生選手の食生活を支えているお母さまへの気持ちについても伺いました。
母の手料理に支えられています
トロントでは、食事はいつも母が作ってくれます。母はいつも「今日は何が食べたい?」と聞いてくれるんです。僕が、その時々の体調によって食べられるもの、食べられないものが違うのをわかってくれているので。力をつけるために焼肉を作ってくれたり、そのときの僕が食べやすいものを栄養バランスを考えて作ってくれるのは、本当にありがたいです。 母は時差のある日本とのやりとりで夜中も起きていなければならなったり、海外でずっと英語だったり、僕の練習に付き添ってくれたりして、すごく疲れると思うんです。肉体的な部分だけでなく、精神的な疲れもあると思うので。僕には休みがありますが、母には休みがありませんから。でも、僕だけの感覚かもしれませんが、母も僕と一緒に戦ってくれているんだと思います。トロントでの全ての生活を支えてくれている母には本当に感謝しています。


羽生選手はトップスケーターであると同時に22歳のひとりの大学生でもあります。今回は、そんな羽生選手のオフタイムの過ごし方についてお伺いしました。YUZURU’S PRIVATEの後編は、普段のオフの過ごし方、勉強や学校のこと、羽生選手が日々つけている「スケートノート」について語っていただきました。

“スケートのためにカナダにいる”という羽生選手。しかし練習をしていない時は一体どう過ごされているのでしょうか。氷に乗らない時間の過ごし方について伺いました。
オフにはジャンプの研究や イメージトレーニングをしています
オフには好きなゲームをしてリラックスすることも大事ですが、そのうえでジャンプの研究やイメージトレーニングをしたりする時間のほうが多いかもしれません。自分の演技を撮影してもらい、そのビデオを見ながらいろいろチェックをしています。リビングの窓ガラスだと自分の姿を映して見られるので、そこで手を動かしてみたり、ジャンプの確認をしたりしています。

羽生選手は現在、早稲田大学の通信教育課程で学んでいます。オフシーズンで氷に乗らない時間は基本的には勉強の時間に当て、普段からも本をよく読んでいるそうです。どのような本に興味があり、大学ではどんなことを学んでいるのでしょうか。
心理学や人体についての 本をよく読んでいます
もともと認知心理や臨床心理といった心理学や、人体の神経系や感覚器官について興味があって、普段からそういう本を読むことが多いですね。最近だと睡眠についても本やネットでいろいろ調べたり、今気になっているセルフケアや体の使い方についての本を読んでみたり。たぶん小さい頃から緊張やリラックスについてずっと考えてきたので、そういう分野がより身近なのだと思います。それに僕の場合は本で読んだことをスケートで実践する機会もたくさんあります。 本や学校で学んだことと、今までの経験を合わせて、自分なりに見えてきたこともありました。今まで自分が感覚として感じていたことや現象としてあったことが、科学的根拠として存在するということを学べたり、裏付けができたりして、それがすごく面白いですね。

大学の授業で コミュニケーションについて 学びました
大学では人間科学を学んでいるのですが、最近では、教育についての授業がとても面白かったです。教授がすごく面白い方なのですが、先生と「生徒としての自分」のコミュニケーションを学んだことで、コーチと「スケーターとしての自分」の関わりについていろいろ考えさせられました。例えば、教えられる立場としての受け止め方だったり、質問の仕方だったり。これからコーチとスケーターという関係で二人でより良い学び、より良い練習にしていくためには、どうしていくのが良いのかということを考えるきっかけになりました。
羽生選手は日々気づいたことや思いついたことをノートにメモしています。それは「スケートノート」と呼ばれるもので、具体的にはどのようなことが書かれているのでしょうか。そして、そのノートをどのように活用しているのでしょう?
自分が大切に思ったことを ノートに書いています
大学の教授の本だったり、学校の勉強での参考文献だったり、さっきもお話しした自分の興味のある分野の本を読んで、気になった部分をノートに書くのがけっこう好きです。あとは、自分がその日の練習で大事に思ったことや思いついたこと、心の動きをノートに書いています。それを「スケートノート」と呼んでいるのですが、例えば、今日こんな練習したということや、その日の点数といったことをバーっと書いて、そのときの精神状態がどうだったかということも記録しています。ジャンプで悩んだときに、もちろん技術的なこともあるのですが、精神的なことも大きいんです。そんなときにノートをパラパラと読み返して「あの時、こういうこと書いたんだな」と気づきもあります。

羽生選手にとってのオフタイムは、リラックスすること以上にスケーターとしての「研究」と、学生としての「学び」の時間でした。

17歳の春、カナダのトロントに生活の拠点を移し、お母さまとふたりでの海外暮らしも6年目となった羽生選手。かつてのインタビューで”母親がいなかったらカナダでは生活していけない”と語っていた羽生選手に、改めてお母さまへの感謝の気持ちについて伺いました。

料理や過ごしやすい環境は 母が作ってくれています
今はカナダで母とふたりで暮らしています。もう6年目になりますね。 食事はすべて母が作ってくれています。小さい頃からずっと食べている母親の味というのは、やはりすごくホッとするし、そこでしか得られない安心感があります。 洗濯も毎日してくれて、家や身の回りをすごくきれいに整えてくれて、過ごしやすい環境にしてくれて・・・そういうところは、やはり母親ならではのありがたさを感じます。 カナダの家は、家族全員が一緒でなくても、“トロントの実家”というと変ですが、“自分の家”だという安心感があります。それは母親が、トロントでずっと側にいてくれて、料理の味だったり、洗濯の香りだったり、そういった、僕の周りの「空気感」のようなものを母が作ってくれるからだと思います。

言葉にしなくても伝わる 絆や愛情が支えです
母とは本当に何でもよく話をします。僕がなんでも言っちゃうタイプなので、自分の頭の中で考えたことをぶわーっと母に話しちゃいますね。(笑)親子だからこそいろんなことを言いあうし、ときにはケンカをすることもあるし、一緒に分かち合える喜びや幸せもあります。そして、逆に、そっとしてくれるのも母親なんです。僕がそっとしておいて欲しいと思っているときには、言葉にしなくてもわかってくれるんですよね。 もともと親子ってひとつの細胞からできているわけじゃないですか。親子だからこそわかる言葉にしなくても伝わる絆や愛情ってあると思います。そういった「距離の近さ」が最終的に心の支えになっているなと思います。

見守って、支えてくれる母は 一緒に戦ってくれているんだと 思います
母親の立場でスケートを観るのって、すごく緊張すると思うんです。姉がスケートをやっていたので、姉の試合を観戦していたからよくわかるのですが、観ている立場って大変ですよ。ものすごく緊張するんです。出ているほうは、試合でやることがある程度決まっているわけなので、緊張より集中のほうが強くなるんです。でも、応援している側の緊張感というのは、胃が痛くなるくらいだと思います。祈るような気持ちで見守ってくれる。それがわかるから、母も僕と一緒に戦ってくれているんだなと感じます。 ずっと支えてくれて一緒に戦ってくれている母の気持ちを自分の中に受けとめて、スケートに生かしていきたいなと思います。


ソチ 2014 冬季オリンピックで世界の頂点に立った後も、昨シーズンのグランプリでは史上初のグランプリファイナル4連覇、世界選手権優勝と、常に世界という大きな舞台で自らの記録を塗り替え挑戦し続けている羽生選手。今回は、2018年の平昌冬季オリンピックを控え、今もなお限界に挑み続ける羽生選手に「スケートにかける想い」について伺いました。

挑戦をすることは いちど壁にぶつかること
例えば練習していて、「これもう無理だな」、「これ以上できないな」って思うことは毎日あります。本当にいつも思っていてそこで楽をしたいな、妥協しようと考えてしまいそうになるのですが、そこで妥協しきれないのがたぶん自分なんですよね。 何かに挑戦することは、いちど壁にぶつかることだと思います。挑戦する度に壁が高くなっていくから、簡単には乗り越えられなくなる。そのときに、もっと効率のいい道がないかなって探してみたり、違う道に行ってみたりするのですが、そこを行ききれない。結局、元の道に戻ってそこの壁を登ってしまうのが自分で、もうこれは性格だと思います。でも、それが今の自分を作り上げているとは思いますね。

挑戦することに対して、 怖さはまったくありません
自分の性格を説明するとしたら、いい言葉で言えば芯が強くて、悪く言うと頑固です(笑)。わりとマイナスな気持ちになることもあるのですが、芯はブレないという感じはあります。不安や緊張というような気持ちになることも、もちろんあります。そういった気持ちになるのは、身体を動かしていないときが多いですね。例えば、ご飯を食べている時間や、寝る前の時間とか、そういった休んでいる時間ほど、もう少しトレーニングやストレッチしたほうがいいのではないかと、気持ちが揺れることはあります。 でも試合前の段階に入ると気持ちは切り替わっていて、不安や怖さみたいな気持ちはありません。準備のときにはやることが決まっていて、荷物の準備をしているときやウォーミングアップしているときなど、あれやって、これやってと、夢中になっているので、気持ちはすっかり集中しています。試合のときは、挑戦することに対してなんの怖さもないですし、失敗するということを考えて挑戦したことは一度もありません。

全てを費やせるくらい スケートが好き
やっぱりスケートが、好きなんですよね。滑っている瞬間がすごく好きで、みんなに見てもらうのも好きで、みんなが喜んでくれたり、楽しんでくれたり、感動してくれたり、そういったこと全てが嬉しく感じます。こういった体験ができるのは、本当にスケートならではのことだと思うので、自分には向いていると思うし、本当に僕はすごく幸せだなと思います。 冷静になってみると、考えられないくらいのものを費やしています。時間もそうですし、日々の生活のほとんどのことがスケートにつながっています。でも、たくさんのことを費やしても全くかまわないくらい僕は、スケートをできていることが幸せなんですよ。それくらいスケートから色々なものを受取っています。だから、どんなに苦しくても頑張ろうと思いますね。

【決定 平昌2018冬季オリンピック出場!】 あなたの“エール”が羽生選手に届く! 詳しくは… 2018年2月、いよいよ平昌冬季オリンピックが開催されます!オリンピックという大きな舞台に立つ羽生選手に応援メッセージを送りませんか?みなさんから寄せられた応援メッセージは、しっかりと羽生選手にお届けします。ぜひ、羽生選手へあなたの“エール”を送ってください! ※羽生選手に直接お届けする応援メッセージブックレットは、準備の関係上、1月15日までに投稿されたメッセージが対象となります。予めご了承ください。マイレピサイト上の応援メッセージの投稿自体は1月16日以降も可能です。

【決定 平昌2018冬季オリンピック出場!】 あなたの“エール”が羽生選手に届く! 2018年2月、いよいよ平昌冬季オリンピックが開催されます!オリンピックという大きな舞台に立つ羽生選手に応援メッセージを送りませんか?みなさんから寄せられた応援メッセージは、しっかりと羽生選手にお届けします。ぜひ、羽生選手へあなたの“エール”を送ってください! ※羽生選手に直接お届けする応援メッセージブックレットは、準備の関係上、1月15日までに投稿されたメッセージが対象となります。予めご了承ください。マイレピサイト上の応援メッセージの投稿自体は1月16日以降も可能です。 【投稿方法】応援メッセージは下のコメント欄から投稿するだけで投稿完了です。 ※投稿にはマイレピへのログインが必要です。 まだマイレピ会員でない方は今すぐ会員登録。 募集期間:2018/2/25まで

以前YUZU DAYSのインタビューで羽生選手はこのように語ってくれました。「みなさんの応援が本番への集中力を高めてくれる」「支えてくれる全ての人たちが一緒に戦ってくれるチームだと思います」と。

羽生選手の大きな舞台に向ける真剣なまなざし、自分自身に負けまいとする強さやひたむきさに、応援しているわたしたちも勇気や感動、がんばる力をもらっているのかもしれません。

みなさんからいただいた応援メッセージは、平昌2018冬季オリンピック前に羽生選手の手元へとお届けします。 ※上の写真は2016年にP&Gが羽生選手に応援メッセージを送ったときのものです。1通1通じっくりと目を通しながら、「こんなにもたくさんの方が応援してくださっているんですね…」と感慨深げにつぶやいていました。

みなさんの心がこもった“エール”は、きっと平昌2018冬季オリンピックという舞台に立つ羽生選手のちからになることでしょう。マイレピはみなさんの応援メッセージをしっかりと羽生選手のもとへ届けます。さあ、みなさんで羽生選手に“エール”を送りましょう! ※上の写真は2016年にP&Gが羽生選手に応援メッセージ送ったときのものです。

羽生選手は技術もさることながら、豊かで美しい表現力も魅力です。観ている側の、目を奪い感情を揺さぶるような豊かな表現力はどこから生まれるのでしょうか。羽生選手に、インタビューでお伺いしました。

感受性の豊かさは 子供の頃からです
子供の頃から感受性が豊かだったと思います。音楽を聴いていてもすごく入り込んでしまい、身体が自然に動いてしまいますし、そもそも感情の量が大きいです。思いっきり感情を自分の内側にためて氷上で爆発させるような感覚のときもあります。 感受性は豊かなところは、ある意味フィギュア向きだと思うので、フィギュアに出会えてよかったなと思います。

表現する時には、 全てを受けとめようとします
表現するときには、その曲が持つ感情やテーマのようなものを自分の内側に受けとめようとしてしまいます。それこそ溢れるくらいに、自分の内側に感情を膨らませます。 例えば演技する曲が、苦しみや悲しみのような重いテーマだと、そういった感情を全部受けとめようとしまうので、入り込みすぎて辛くなることもありますね。でも僕は人の内側にある感情を表現することは嫌いじゃないんですよね。

フィギュアは自分の感情を 表現しきれる場所
話すときの言葉ってある程度制約があって、これは言えないとか、言ってはダメとか、いろいろあるじゃないですか。それにすべての感情は言葉にできるわけではありません。氷上は自分の言葉にならない感情も含めて「表現しきれる場所」だと思います。自分にとって氷上は一番自分らしくいられる場所だなと思いますし、フィギュアをできて幸せだなと思います。


羽生選手は、取材の際に、丁寧な言葉遣いでときにはスタッフを和ませてくれながら気を使って接してくださるのが印象的でした。その礼儀正しさはどこからくるのでしょうか?
言葉遣いは、両親や姉に子供のころから気をつけるように言われてきました。あと僕が大切にしているのは、礼儀です。氷に対しもそうですけど、自分の体にもそうだし、選手同士はもちろん、周りのお世話になっている方に、礼儀を大切にしたいなと思います。そんなに大げさなことではないんですよ。例えば、目上の人との接するときに、言葉遣いもそうですし、道を「どうぞ」と先に譲るなども当たり前のことですが、日ごろから意識しています。

今回は【裏YUZU DAYS】と題して、撮影中の貴重なオフショット&ムービーを一挙大公開!リラックスした表情や、お茶目な表情の羽生選手の撮影の様子をお楽しみください!

YUZU DAYS 第29回目でお母様への感謝の気持ちをお伺いしたときのオフショット。お母様のことを語る羽生選手の表情は優しいです。

YUZU DAYS 第30回目のオフショット。笑顔の羽生選手も素敵です。
くるっと壁側に向きを変えて... こんなサービスショットもいただいてしまいました!
撮影中、ひょいっとストレッチのように足を手すりに乗せる羽生選手。さすが身体が柔らかいです!
羽生選手、さすがです!!!
リラックスショットをいただきました!
サッと、茂みに隠れる羽生選手。お茶目です!!

平昌冬季オリンピックを控える羽生選手へ、P&Gは「YUZU DAYS」で募った心のこもった応援メッセージを一冊のアルバムにして、事前にお届けしていました。そして今回、見事金メダルを獲得した羽生選手に、オリンピックの感想やお母様への想い、そして、応援いただいた皆さんへの感謝のメッセージを、改めてアルバムを見返しながら語っていただきました。

常に支えてくれる家族は 本当にありがたい存在
金メダルは4年前にも取ることができましたが、前回の経験もあったからこそ、今回のオリンピックでは金メダルの重みを強く感じました。環境が変わっても、常にそばで支えてくれる家族は、僕にとって本当にありがたい存在です。家族のサポートがなければ、ここまで来られませんでした。

圧巻の演技で見事金メダルを獲得。五輪連覇を達成した羽生選手。
一番最初にメダルを かけたのは母親でした
試合後は忙しくてなかなか時間がありませんでしたが、一番最初にメダルをかけたのは母でした。母は、そばにいてくれるだけで十分な存在です。今は拠点が海外なので、日本語を喋りながら家族の空気が味わえるのは、すごくありがたいです。自分一人では体調管理や栄養面、メンタル面も偏りがちになってしまうので、その部分でも母には感謝しています。

応援メッセージが書かれたアルバムを改めて読む羽生選手。
皆さんのメッセージが 僕の背中を押してくれた
今回は、たくさんのメッセージをありがとうございました。このメッセージ一つひとつが、僕の背中を押してくれたなと本当に感じています。オリンピックは自分にとっても特別な舞台であり、この首にかかっているメダルも特別なものになりました。 自分ひとりでかけるのはとても重いメダルです。皆さんと共にこの重みを分かち合えたら嬉しいなと思います。本当に今回はありがとうございました。

羽生選手よりファンの皆さまへ感謝のメッセージをいただきました。
【祝・平昌冬季オリンピック金メダル】 勇気と感動をくれた羽生選手に「ありがとう」を届けよう! 詳しくは… 平昌冬季オリンピックで、金メダルを獲得した羽生選手。たくさんの勇気と感動をくれた羽生選手に、YUZU DAYSで、あらためて「ありがとう」の気持ちを届けませんか?みなさまから寄せられたメッセージは、羽生選手へお届けし、その様子を年内にYUZU DAYSで公開する予定です。

【祝・平昌冬季オリンピック金メダル】 勇気と感動をくれた羽生選手に「ありがとう」を届けよう! 平昌冬季オリンピックで、金メダルを獲得した羽生選手。たくさんの勇気と感動をくれた羽生選手に、YUZU DAYSで、あらためて「ありがとう」の気持ちを届けませんか?みなさまから寄せられたメッセージは、羽生選手へお届けし、その様子を年内にYUZU DAYSで公開する予定です。 【投稿方法】応援メッセージは下のコメント欄から投稿するだけで投稿完了です。 ※投稿にはマイレピへのログインが必要です。 まだマイレピ会員でない方は今すぐ会員登録。 募集期間:2018/06/30まで

2018年2月、平昌冬季オリンピックで金メダルを獲得し、66年ぶりのオリンピック連覇を果たした羽生選手。右足首のケガという逆境を乗り越え、美しく強い演技で連覇を果たした羽生選手の姿は、世界中を感動の渦に巻き込みました。

羽生選手を通じて、わたしたちは様々なものを受け取っています。繊細で美しく、強い演技には心揺さぶられます。自分自身に挑戦し、壁を越えつづける強さに勇気をもらえます。そして逆境を乗り越え、大きな目標を叶えた姿には感動をもらえました。

YUZU DAYSのコメント欄でもたくさんのコメントをいただきました。そこには「おめでとう」と同じくらいの「ありがとう」の言葉が並んでいました。 「自分自身の人生に重ねて勇気をもらった」というコメントや、「家族の大切さを感じた」というコメントもいただきました。 わたしたちは、羽生選手にエールを送りながら、自分自身にもエールを送っているのかもしれません。

YUZU DAYS読者のみなさんで、大きな「ありがとう」の輪をつくりませんか? みなさんの「ありがとう」の大きな力は、きっと羽生選手の心に届くと思います。 羽生選手へメッセージをお届けした様子は、年内にYUZU DAYSで公開する予定です。

2017年11月、公式練習中に大きな怪我をした羽生選手。平昌オリンピックまで3ヶ月後に迫ったタイミングでした。その逆境を乗り越え平昌冬季オリンピックでは66年ぶりの2連覇を果たしました。羽生選手は、あの時どのように感じ、考えていたのでしょうか。インタビューで伺いました。
今回は怪我があったので、皆さんが心配しながら待ってくれる、心配しながら応援してくれるという気持ちがひしひしと伝わってきました。オリンピックの会場に入った時は、応援してくれるみなさんに、「みんな大丈夫だから安心して」という気持ちでいました。そして、「みんなが心配してくれている気持ちも全部受けとめて、ちゃんと帰ってきたよ」という気持ちで滑れたらなと思っていました。 オリンピックに入るまでの3ヶ月はとても苦しいものでしたが、オリンピックの会場に入るまでに「ここまではやりたい」という具体的なゴールを決めていたんです。自分が決めたゴールさえ達成できれば、オリンピックで勝てるって完全に信じ込んで練習していました。 そのゴールを達成できたのは、平昌に向かう前日の最終練習のときでした。だから、会場に入ったときは、「自分は勝てる準備ができた」という感覚でした。

オリンピックの演技の中で、一番印象に残っているのは、フリーの最後のステップです。あのときには「このオリンピックは勝てた」という感覚になっていたので、喜びを爆発させて滑っていました。その前の3回転ルッツで、変な方向に飛んでしまって転んでもおかしくなかったのに、持ちこたえたんですよ。転ばなかった自分が可笑しく思えてきて、そこから完全に素の自分になっていました。 本当は演技ってある意味では魅せなきゃいけないので、自分一人の幸せで完結していいものだとは思っていないんです。僕がフリーを演じた「SEIMEI」の安倍晴明は、ミステリアスで、底知れない器の大きさがある人というイメージなんですけど、最後のステップは完全に素の自分になって「僕、単純に喜んでるぞ」みたいな感じになっちゃっていました(笑)。 でもあの瞬間は、それはそれでよかったのかなと思います。このオリンピックでしか味わえない悦びって言うものを、ちゃんと感じて、ちゃんと記憶に残しておきたいなって思ったんですよね。自分の人生これから何十年とまだあると思うけど、二度と戻らない瞬間なのでちゃんと記憶に残して、心から楽しみたいなと思いました。

一番幸せを感じた瞬間は、やっぱり表彰台に上ったときです。金メダルの場所に立つ時、どこにも足をつかないでいっぺんに両足でダンっ!て上るのはいつも決めているんです。この瞬間を自分の記憶に残したいという想いもあります。ちなみに今回は、興奮してアドレナリンが出ているので足の痛みは全く感じませんでした(笑)。 表彰台に上がったときが、「一番、今が自由だ」と感じた瞬間でした。結果が全てのスポーツの世界の中で、今まで自分が頑張ってきたことが証明できたと思いました。自分が一位で、一番いい演技をして、何も語らなくても誰にも侵されない領域に自分は立っているんだという感覚でした。それを自分の中で「自由だ」と感じて、とても幸せな瞬間でした。


YUZU DAYSが連載を開始したのは、2015年の6月末のこと。連載がはじまって、4年目を迎えています。今回は5月後半から開始した特別企画「勇気と感動をくれた 羽生選手に『ありがとうを届けよう!』でのみなさんのコメントを羽生選手にお届けし、コメントをいただきました。また、4年目を迎えたYUZU DAYSへのコメントもいただきました。
最初に、自分がこうやって二連覇することができたのは、本当にみなさんの応援のおかげです。ありがとうございます。 子供の頃の話になるのですが、僕は野球が好きでよく見ていたのですが、ヒーローインタビューで「今日、ホームランが打てたのは皆さんのおかげです」という言い回しってよくあるじゃないですか。あの言葉は子供の頃は「本当かな?」って思ってたんです。物理的に声援がボールを運ぶことってありえないですから。だけど自分自身スケートを続けるにつれて、僕は本当に応援っていうのは力に変わるものなのだなと感じるようになりました。

これは僕なりの解釈になりますが、応援っていうのは期待で、それがプレッシャーになるんです。プレッシャーって言うのは、例えば宿題に例えると、締めきりがあると目標に向かって進むじゃないですか。そのプレッシャーが力に変わる感覚なのかなって思ったんです。だから、みなさんの期待や応援で、僕は金メダルを獲りたい、獲らなきゃいけないと思うので、それが自分の原動力になってるんだなって感じています。だから本当に応援っていうのは力に変わっているし、それに対して「ありがとう」って言いたいんですけど、それ以上に、みなさんの力が僕という媒体を通して結果として表れたっていうことは、みなさんにも「おめでとう」ということを伝えたいなって思います。
YUZU DAYSでは、僕は素で話せているなと思います。会員制っていうのもあるし、連載なので安心して自分のことをちゃんと話せていますね。 ここは、安心して自分をちゃんと伝えられて、言いたいこともしっかり言えるし自分はこういうものだよって、こういう人間なんだよっていうのを素で言える場所かなって思いますね。

みなさんも安心してコメントしてくださっているのはすごく伝わります。たぶん僕も安心して話しているから、みなさんも安心していろいろ書き込めるのかなと思います。 僕はこうやって、スケートやメディアに出ていろんなことを発信することができますが、みなさんは一人一人全ての方がそれぞれの想いを直接伝える場って、なかなかないと思います。それをここではちゃんと言える場になったらいいなぁって思いますね。僕は、こういう場所があるから自分が自分でいられるし、このコメント欄が、皆さんも自分でいられる場所になってもらえればいいなって思います。 YUZU DAYSが、少しでも自分の心の中にある「おめでとう」とか「ありがとう」とか、そういったポジティブな気持ちを出せる場所になっていたらいいなと思います。
