転校生がやって来た(转校生来了)
九月半ば、転校生が、僕達の学級にやって来た。名前は勇馬。
(九月中旬,名为勇马的转学生来到了我们班级。)
自己紹介の第一声に、「これで転校は三回目です。三度目の正直といいます。よい友達を作って、皆と一緒に卒業したいと思っています。よろしくお願いします。」と、はっきりした声で挨拶した。
(他自我介绍的第一句就用清晰的声音打招呼道:“这已经是我第三次转学了。第三次的正直。我想要交到好朋友,然后和大家一起毕业。请多指教。”)
勇馬がやって来てから、学級の何かが変わり、僕へのいじめがなくなるきっかけとなった。
(自从勇马来了,班级产生了些许变化,成了我不再受欺凌的契机。)
はっきりいじめだと感じたのは、九月になって二、三日経った頃だった。グループ学習の時、仲が良いと思っていた一人から、突然耳元で、「あんまりそばに来るなよ。迷惑なんだよ。」と、言われたのが始まりだった。それからというもの、仲間外れにされる日が続いた。(どうして……、原因は……。)と、繰り返し考えてもよく分からなかった。
(我明显感觉到受欺凌是在九月过了两三天左右的时候。在小组学习的时候,我原以为一个关系要好的人突然在我耳畔边说道:“别太接近我。你很烦。”从这之后开始,我被排挤的日子持续不断。(为什么……原因是……)我如此反复考虑也不知道被欺凌的原因。)
勇馬が転校してきた日に席替えがあり、僕は勇馬と同じ班になった。
(勇马转校来的那天要换座位,我和他分在了一组。)
それから数日が経った図画工作の時間だった。「友達の顔を描く」と言う課題が出た。誰からも声がかからず、冷たく無視されていた僕の様子に気付いた勇馬は、大きな声で、「一緒にやらない。どう?」と、声をかけてくれた。その瞬間、教室のざわめきが止まり、静まり返った。その時のことを忘れることが出来ない。
(又过了数日的图画手工课上。有个“画朋友的脸”的课题。勇马注意到我没有被任何人搭话,冷漠对待的样子后,大声对我说道:“我们一起画吧?”这一瞬间,喧闹的教室变得鸦雀无声。我无法忘记那时的事。)
次の日、僕は、靴隠しにあってしまった。勇馬が一緒に探してくれて、やっと傘立ての中から見つけることが出来た。
(翌日,我的鞋子被藏起来了。勇马帮我一起寻找,终于在立伞架中找到了。)
帰りの会で勇馬は、思い切ったように立ち上がって、「僕も同じような悲しい目にあいましたが、助けてくれる友達がいて、乗り越えることが出来ました。靴隠しは卑怯です。とても恥ずかしいことです。友達が困っています。靴隠しなどのいじめは、学級を壊してしまいます。」と、しっかりした声で話しかけた。
(在回家前的会上,勇马下定决心似的站起来,坚定地说道:“我也遇到过同样难过的事,但是有朋友帮助我,我得以克服。藏鞋子很卑鄙。是无比可耻的行为。朋友在困扰。藏鞋子等欺凌会毁了班级。”)
それまで黙っていた数人が手をあげた。
(一直沉默的数人举起了手。)
「勇馬さんの言う通りだと思います。」
(“勇马说得对。”)
「私も勇馬さんの考えに賛成します。」
(“我也赞成勇马。”)
「今までも、こういうことはいけないと思っていましたが、言えませんでした。」
(“虽然至今为止我觉得这么做不可以,但是没能说出来。”)
「皆本当は、卑怯なことをしてはいけないと分かっているはずです。よく話し合って、誰かが困るようなことは、なくしていく方がいいと思います。」
(“大家其实应该明白不能做卑鄙的事。好好交谈,不能再发生让谁困扰的事。”)
このような、真剣で前向きな発言が続いた。
(像这样不断有着认真积极的发言。)
靴隠しについての話し合いがあってから、教室の中に、明るい笑顔が多くなってきた。正しいことは「正しい」と、いけないことは「いけない」と言うことの出来る学級の雰囲気が出来てきたのだ。そうした変化の中で、僕自身も、少しずつ元気を取り戻すことが出来てきている。
(谈了关于藏鞋子的事之后,教室中明朗的笑容变多了。班级逐渐有了正确的事说“正确”,不可以做的事说“不行”的氛围。在这样的变化之中,我自己也渐渐恢复了精神。)
そのきっかけを作ってくれた勇馬。周りの人を恐れるのではなく信じて、正しい方向へ一歩を踏み出す力を持っている勇馬のことを、僕は、もっともっと知りたいと思っている。
(勇马为我创造了这个契机。他不惧怕周围的人,而是相信他们,并朝着正确的方向迈出一步,我想要更多地了解拥有这种力量的勇马的事。)

