梅の木村の四人兄弟(梅树村的四兄弟)
昔々、梅の木村の権兵衛の家には、子供が四人おった。
(很久很久以前,梅树村的权兵卫家有四个孩子。)
一番上は一郎太で、体がとても大きくがっしりとしていて、大変な力持ちだった。力だけではなく、進んでやり遂げる気持ちをしっかり持っていた。
(长子是一郎太,身体非常高大健壮,力大无穷。不只是有力量,还拥有坚持做到最后的精神。)
二番目は次郎太。細かいことが大好きで、竹かご作りや箱作りが上手だった。少しの間違いもなく、きちんとした形に仕上げるのだ。
(次子是次郎太。最喜欢精细的事,很擅长制作竹筐和箱子等。没有一点错误,能准确地做成形。)
三番目は三郎太で、どんな動物とも仲良くなることが出来た。三郎太が、庭を「コッコ、コッコ。」と言いながら歩いていると、鶏は三郎太をおっかあだと思って、一緒について回った。鼻息が荒い牛も、三郎太の前では、大人しくなった。
(第三子是三郎太。能够和任何动物友好相处。三郎太在院子里一边说着“喔喔、喔喔。”一边走的话,鸡会将三郎太当成老妈,一起跟着他绕弯。鼻息很粗的牛在三郎太的面前也很安分。)
四番目は四郎太。いつもおっとりとしていて、慌てることがない。静かに雲を見たり、風の音を聞いたりしていた。四郎太が、「もうすぐ雨が降るよ。」と言うと、いつの間にか雨が降ってきた。「今日は、梅の花が開くぞ。」と言うと、ちゃんと梅の花が咲いていた。
(第四子是四郎太。一直很稳重,毫不慌张。静静地看云,闻风声。四郎太说“马上就要下雨了。”的话,不知何时,雨下下来了。他说“今天梅花要开了。”的话,梅花的确开了。)
もう秋になろうかというある日、四郎太が突然起き上がると、「大変だ。大嵐が来るぞ。雨戸をしっかりさせて、早く川べりに土嚢を積まないと、家が壊されたり、水浸しになったりするぞ。」と言った。一郎太が、「川の水も、溢れるということか。四郎太。」と聞き返すと、四郎太は、「ああ。急いで村の衆に知らせに行かなくては。なあ、おとう。」と言った。おとうが、「一郎太は、川に行って土嚢を積め。次郎太は、家の雨戸に板を打ちつけろ。三郎太は、牛や鶏が騒ぐから、静かにさせておけ。四郎太は、おっかあを手伝って、握り飯を沢山作っておけ。村の衆の、腹ごしらえの準備だ。」と言うなり、一郎太と外に飛び出していった。
(马上就要秋天的某日,四郎太突然起来说道:“糟了。大暴雨要来了。不把防雨板弄弄好,不尽快去河岸边堆积沙袋的话,房屋要损毁浸水了。”一郎太反问道:“河水也会溢出吗?四郎太。”,于是四郎太说道:“是啊。得快点去通知村民们。对吧,老爸?”老爸一说道:“一郎太,去河边堆沙袋。次郎太,把家中的防雨板钉上木板。三郎太,牛和鸡会吵闹,让它们安静下来。四郎太,你帮老妈做很多饭团。做好村民们填肚子的准备。”就和一郎太一起飞奔出去了。)
一郎太は土手に行くと、ごうごう流れる川のそばで、土嚢をどんどんと積み上げていった。次第に雨も風も、激しくなってきた。
(一郎太前去堤坝,在河水滚滚流淌的岸边不断堆积沙袋。风雨也渐渐大起来了。)
次郎太は、トントンと雨戸に板を打ちつけ、風が吹いても家が壊れないようにした。
(次郎太咚咚地在防雨板上敲打着木板,牢固得就算刮风,家也不会毁坏。)
三郎太は、納屋に入り、鳴いている牛や、バタバタ暴れている鶏に話しかけた。
「ああ、分かった。静かにしていたら、嵐は行ってしまうから大丈夫さ。」と言いながら、牛の背中をさすったり、鶏を抱き上げたりした。
(三郎太进了小屋,对鸣叫的牛和啪踏啪踏乱闹的鸡一边说道:“啊,我明白。安静点的话,暴雨会过去的,没事的。”一边抚摸着牛背,或是把鸡抱起来。)
四郎太は、一生懸命に、握り飯を作った。そして、雨でびしょ濡れになったおとうや一郎太、村の衆にお茶を入れたり、体を拭いたりした。
(四郎太拼命做着饭团。然后给被雨淋湿的老爸和一郎太、村民们泡茶、擦拭身体。)
雨風は、ビュンビュン唸りながら、荒れ続けた。川の水は、積み上げた土嚢ぎりぎりまでいっぱいになった。皆は、それぞれの家の中で、じっと嵐が行ってしまうのを待った。
(狂风暴雨持续地呼啸着。河水几乎溢满到了堆积着的沙袋处。大家都在各自的家中,静静地等待着暴雨过去。)
夜が明ける頃、やっと嵐は過ぎ去った。おとうは、四人の子供の前で、「一人一人がよく力を出してくれたな。皆の力が合わさって、嵐を乗り越えることが出来た。良かった。良かった。」と、にこにこしながら言った。それを聞いていた四人は、満足そうな顔だった。
(天亮的时候,暴风雨终于过去了。老爸在四个孩子面前,笑嘻嘻地说道:“你们每一个人都好好地出力了。大家齐心协力,能够战胜暴风雨。太好了。太好了。”四人闻言,都露出了满足的表情。)

